【完】恋歌
彼女の体から溢れ出すオーラが眩しかった。
彼女は間違いなく、自分の求めている存在。
だから、ほんの少しでも良いから、この…二人の時間を保ちたかった。
例えその後で、どんなに残虐な仕打ちを受けても、それでもいいと思うくらい、甘い時間を作りたかった。
彼女は、伏目がちに自分のことを話そうとして、口を噤んだ。
だから、オレはそんな彼女に対して笑みを零す。
「そんなに、怯えないで…?貴女が話せることからでいいんだから、ね?」
相変わらず、縮まることはない距離感。
それでも、良かった。
この場所を、この時間を、彼女と共有出来るのだったら…。
暫く続いたけして辛くはない沈黙の果てに。
ひゅうっと風が吹いたのと同じくらいの小ささで…。