【完】恋歌
「凜音?…何を考えるの…?」
「…お前には分からない…」
「分からないと思うんなら、教えてよ…オレは貴女のことが知りたい」
どこまでも、澄んだ紅の瞳。
そこに映るのは、不安な顔をした自分の姿。
「貴女が、望むなら、…いくらでも分けてあげるよ…」
甘い、甘い、誘惑。
騙されてはいけないと知りつつも。
最早、自分の心は彼を受け入れようとしていた。
どこまでも呼応する音。
ずきん、ずきん…。
この鼓動に、もしも名をつけるとしたら。
それが、アイというものなのだろうか…?