《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「ほんと? 上手く焼けてるならよかった!!」
「良かったねイリア。ほら、ブラッド君の分は箱に詰めて後で贈るんでしょ?」
エテジアーナが可愛らしい箱をイリアーナに手渡した。
「うん! ふふ、ブラッド喜んでくれるかな…」
「ねえ。姉様ってブラッド兄様の事好きなの?」
「…っ! すすす、好きって、アーちゃんだってブラッドの事好きでしょう?」
「うん! ブラッド兄様かっこいいし、たくさん遊んでくれるし、色々な事を教えてくれるんだもん大好き! またこっちに遊びに来ないかな?」
ブラッドというのは隣大陸にあるオゥ鉱脈都市の領主の嫡男、ブラッドフォードの事である。
シュサイラスア大国の傘下であるオゥ鉱脈都市は主に鉱脈で採れた鉱物を加工して装飾品や装身具を作り他国と交流をしているやや大きめの独立した都市だ。
首領一家のローズ家との友好は古くから続いており現在では家族ぐるみで交わる間柄。
どうやらイリアーナはブラッドフォードに想いを寄せている様なのだ。
「そうよね! この焼き菓子を贈るのと一緒にお誘いのお手紙も書いてみようかと思うの」
「やった! またブラッド兄様に遊んでもらえる?」
「もちろんよ! じゃあ私さっそくお手紙を書かなきゃ…!」
「ありがとう姉様!」
意気投合してそわそわし始めた二人にテエジアーナは吹き出すとご機嫌に笑い出した。
「あっはは! 君たち本当に可愛いね。母様は嬉しいな」
そんな母の様子を見てイリアーナとラインアーサはきょとんと顔を見合わせた。
「イリアはこのまま真っ直ぐ育って素敵な女性になるんだろうね。楽しみだなぁ! アーちゃんは最近急に大きくなった感じ。流石男の子だね! あんなに小さかったのに、母様ちょっとさみしい」
「どうして?」
「母様、何だか置いていかれそうで…」
「お、俺は母様の事置いて行ったりしないよ」
「私だってお母様を置いて行ったりしないわ!」
「うん、分かってる。違うの、子供たちの成長ってね、とっても嬉しい反面少しだけ寂しくなったりもするのよ。子供たちにはまだまだ分からないかな」
「……俺、まだ良くわからないけど強くなって母様の事守るから安心して!」
「ありがとう、アーちゃん」
どこか困った様に微笑むエテジアーナの顔が、この場に居た皆の心に深く残った。
「そうだ! だから今日から俺の事そのあだ名で呼ぶの禁止!!」
「良かったねイリア。ほら、ブラッド君の分は箱に詰めて後で贈るんでしょ?」
エテジアーナが可愛らしい箱をイリアーナに手渡した。
「うん! ふふ、ブラッド喜んでくれるかな…」
「ねえ。姉様ってブラッド兄様の事好きなの?」
「…っ! すすす、好きって、アーちゃんだってブラッドの事好きでしょう?」
「うん! ブラッド兄様かっこいいし、たくさん遊んでくれるし、色々な事を教えてくれるんだもん大好き! またこっちに遊びに来ないかな?」
ブラッドというのは隣大陸にあるオゥ鉱脈都市の領主の嫡男、ブラッドフォードの事である。
シュサイラスア大国の傘下であるオゥ鉱脈都市は主に鉱脈で採れた鉱物を加工して装飾品や装身具を作り他国と交流をしているやや大きめの独立した都市だ。
首領一家のローズ家との友好は古くから続いており現在では家族ぐるみで交わる間柄。
どうやらイリアーナはブラッドフォードに想いを寄せている様なのだ。
「そうよね! この焼き菓子を贈るのと一緒にお誘いのお手紙も書いてみようかと思うの」
「やった! またブラッド兄様に遊んでもらえる?」
「もちろんよ! じゃあ私さっそくお手紙を書かなきゃ…!」
「ありがとう姉様!」
意気投合してそわそわし始めた二人にテエジアーナは吹き出すとご機嫌に笑い出した。
「あっはは! 君たち本当に可愛いね。母様は嬉しいな」
そんな母の様子を見てイリアーナとラインアーサはきょとんと顔を見合わせた。
「イリアはこのまま真っ直ぐ育って素敵な女性になるんだろうね。楽しみだなぁ! アーちゃんは最近急に大きくなった感じ。流石男の子だね! あんなに小さかったのに、母様ちょっとさみしい」
「どうして?」
「母様、何だか置いていかれそうで…」
「お、俺は母様の事置いて行ったりしないよ」
「私だってお母様を置いて行ったりしないわ!」
「うん、分かってる。違うの、子供たちの成長ってね、とっても嬉しい反面少しだけ寂しくなったりもするのよ。子供たちにはまだまだ分からないかな」
「……俺、まだ良くわからないけど強くなって母様の事守るから安心して!」
「ありがとう、アーちゃん」
どこか困った様に微笑むエテジアーナの顔が、この場に居た皆の心に深く残った。
「そうだ! だから今日から俺の事そのあだ名で呼ぶの禁止!!」