《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「わあ…すごいな」
二人で旧市街を見下ろす。
王宮がある風樹の都に比べ、古く重厚感のある建物が多く立ち並んでいる。
かつては此処が国の要だったのだが前王の代に今の場所へ王宮と都を移したらしい。
美しくも歴史ある街並みと雰囲気のある旧市街も人気の観光地だ。夕凪の都の名だけに日暮れ時の夕陽に照らされると更に美しい景色へと変貌する。
シュサイラスア大国にはそういった様々な絶景を望める場所が他にも多くあり、それも人気の一つなのだ。
「あーあ、ジュストじい様今頃鬼みたいにカンカンだろうな」
「ぅぅぅ…ものすごく怒られるな。流石に父様たちにも怒られそう」
「じゃあ二人で思いっきり怒られようぜ!」
ジュリアンが歯を見せてにかっと笑うと、不安そうなラインアーサもつられて少し微笑んだ。
「なんだよそれ。怒られるのに何で嬉しそうなの?」
「は? 嬉しくねぇよ!」
「でも笑ってる」
「えー別に〜?」
「ふうん?」
誤魔化してみたものの内心嬉しかった。
ラインアーサと二人でジュストベルに怒られているのを想像したら何故だか分らないのだが嬉しさに似た様な感情で胸が満たされた。
それを悟られないようにやや強引に話題を変える。
「それよりもさ、次の停車場のテチラドってあれだろ?」
「っ…!! やっぱり……出るの?」
「って噂だよな」
ジュリアンはにやつくと、両手を前に出して幽霊の真似をして見せた。
「や、やめろよ……そんなの居るわけないし!!」
「わっかんないだろ? いるかもよ、怖ーいお化け。びびってるなら次で降りるの辞める?」
「む……。ジュリっていつもそうやって俺の事おちょくって楽しいの?」
「え、うん。楽しい」
というか反応を見るのが楽しい。
「何でだよ…」
眉間に皺を寄せてあからさまに不機嫌になるラインアーサ。うっかり「かわいいから」と口を滑らしそうになり、その可愛らしい顔に似合わない眉間の皺を人差し指で小突く。
「お前ってすぐに顔に出るよな! 少しはよそ行き顔の練習しとけって」
「……むかつく。ジュリなんていつもヘラヘラしてる癖に!」
「だってその方が何考えてるか悟られにくいからな」
「ええ、何それ。何か企んでんの?」
「馬鹿言え! 俺の忠誠心は本物だぞ?」
「ほんとかぁ?」
「ホントだって! 俺の忠誠心は空よりも広く、海よりも深い!!」
二人で旧市街を見下ろす。
王宮がある風樹の都に比べ、古く重厚感のある建物が多く立ち並んでいる。
かつては此処が国の要だったのだが前王の代に今の場所へ王宮と都を移したらしい。
美しくも歴史ある街並みと雰囲気のある旧市街も人気の観光地だ。夕凪の都の名だけに日暮れ時の夕陽に照らされると更に美しい景色へと変貌する。
シュサイラスア大国にはそういった様々な絶景を望める場所が他にも多くあり、それも人気の一つなのだ。
「あーあ、ジュストじい様今頃鬼みたいにカンカンだろうな」
「ぅぅぅ…ものすごく怒られるな。流石に父様たちにも怒られそう」
「じゃあ二人で思いっきり怒られようぜ!」
ジュリアンが歯を見せてにかっと笑うと、不安そうなラインアーサもつられて少し微笑んだ。
「なんだよそれ。怒られるのに何で嬉しそうなの?」
「は? 嬉しくねぇよ!」
「でも笑ってる」
「えー別に〜?」
「ふうん?」
誤魔化してみたものの内心嬉しかった。
ラインアーサと二人でジュストベルに怒られているのを想像したら何故だか分らないのだが嬉しさに似た様な感情で胸が満たされた。
それを悟られないようにやや強引に話題を変える。
「それよりもさ、次の停車場のテチラドってあれだろ?」
「っ…!! やっぱり……出るの?」
「って噂だよな」
ジュリアンはにやつくと、両手を前に出して幽霊の真似をして見せた。
「や、やめろよ……そんなの居るわけないし!!」
「わっかんないだろ? いるかもよ、怖ーいお化け。びびってるなら次で降りるの辞める?」
「む……。ジュリっていつもそうやって俺の事おちょくって楽しいの?」
「え、うん。楽しい」
というか反応を見るのが楽しい。
「何でだよ…」
眉間に皺を寄せてあからさまに不機嫌になるラインアーサ。うっかり「かわいいから」と口を滑らしそうになり、その可愛らしい顔に似合わない眉間の皺を人差し指で小突く。
「お前ってすぐに顔に出るよな! 少しはよそ行き顔の練習しとけって」
「……むかつく。ジュリなんていつもヘラヘラしてる癖に!」
「だってその方が何考えてるか悟られにくいからな」
「ええ、何それ。何か企んでんの?」
「馬鹿言え! 俺の忠誠心は本物だぞ?」
「ほんとかぁ?」
「ホントだって! 俺の忠誠心は空よりも広く、海よりも深い!!」