《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
そう言って少し垂れた緑の瞳を更に下げ、赤茶色の癖毛を揺らしながら快活に笑うのはラインアーサの幼馴染であるジュリアンだ。
何代にもわたってシュサイラスア大国を治める王族 ローゼン家を護り、代々仕えてきたアダンソン家の生まれだ。
ジュリアンの母、サリベルが乳母だった事から二人は実の兄弟の様に育った。
歳はラインアーサのひとつ上で十になるが、国境警備隊隊長の父に鍛え上げられた所為もあり剣の腕は既に大人顔負けであった。
「……その…ジュリは怖くないの?」
「はあ? 何が?」
「剣」
「お前は怖いのか?」
「…だってこれは訓練用のだけど当たればそれなりに痛いでしょ? それに本物だったら…って思うと、俺はジュリに怪我させたくない」
「なんだよ! それじゃあまるでお前はまだ本気出してないだけで本気出したら俺が怪我するって?」
「そういう訳じゃあないけど」
「けど何だよ! ほら立て!! もう一回手合わせだ、来いよアーサ」
ラインアーサの発言ですっかり火のついたジュリアンはすくっと立ち上がると稽古用の剣を構えた。
「や、やだよ。ジュリ、やっぱり俺には剣なんて…」
「本気出せよ。もうよわむしは卒業したいんだろ?」
「そうだけど…」
「お前が来ないなら俺から行く!」
「待ってよジュリ…! わっ」
問答無用で攻撃を仕掛けてくるジュリアン。
ラインアーサはまたしても逃げ腰。やっとの所でその攻撃を躱す。
「ほら、怪我したくなかったら反撃してこいって」
「やだ…ジュリが怪我する!」
「お前の攻撃なんて当たるかよ! いいから反撃してこい!」
「やだよ」
「そんなだから強くなれないんだ、いくじなし。ちゃんと前見ろ! 狙ったことろに思い切り踏み込むんだ!!」
「む、無理だって!」
「無理なもんか!」
ジュリアンはむきになり素早く何度も攻撃を仕掛ける、それを何とか剣で受けるも一向に防御の体制を崩さないラインアーサ。
剣と剣のぶつかり合う音が延々と中庭に響く。何時まで経っても埒が明かない……。
「だああっ! ったくもう!!」
頭に血が登ったジュリアンは勢いのまま剣を振り下ろした。途中ではっと我に返るがその剣先はラインアーサ目掛け命中したかに見えた。
「うわぁっ」
ラインアーサの握っていた剣が手から零れ投げ出される。
「アーサっ!! 大丈夫か!?」
何代にもわたってシュサイラスア大国を治める王族 ローゼン家を護り、代々仕えてきたアダンソン家の生まれだ。
ジュリアンの母、サリベルが乳母だった事から二人は実の兄弟の様に育った。
歳はラインアーサのひとつ上で十になるが、国境警備隊隊長の父に鍛え上げられた所為もあり剣の腕は既に大人顔負けであった。
「……その…ジュリは怖くないの?」
「はあ? 何が?」
「剣」
「お前は怖いのか?」
「…だってこれは訓練用のだけど当たればそれなりに痛いでしょ? それに本物だったら…って思うと、俺はジュリに怪我させたくない」
「なんだよ! それじゃあまるでお前はまだ本気出してないだけで本気出したら俺が怪我するって?」
「そういう訳じゃあないけど」
「けど何だよ! ほら立て!! もう一回手合わせだ、来いよアーサ」
ラインアーサの発言ですっかり火のついたジュリアンはすくっと立ち上がると稽古用の剣を構えた。
「や、やだよ。ジュリ、やっぱり俺には剣なんて…」
「本気出せよ。もうよわむしは卒業したいんだろ?」
「そうだけど…」
「お前が来ないなら俺から行く!」
「待ってよジュリ…! わっ」
問答無用で攻撃を仕掛けてくるジュリアン。
ラインアーサはまたしても逃げ腰。やっとの所でその攻撃を躱す。
「ほら、怪我したくなかったら反撃してこいって」
「やだ…ジュリが怪我する!」
「お前の攻撃なんて当たるかよ! いいから反撃してこい!」
「やだよ」
「そんなだから強くなれないんだ、いくじなし。ちゃんと前見ろ! 狙ったことろに思い切り踏み込むんだ!!」
「む、無理だって!」
「無理なもんか!」
ジュリアンはむきになり素早く何度も攻撃を仕掛ける、それを何とか剣で受けるも一向に防御の体制を崩さないラインアーサ。
剣と剣のぶつかり合う音が延々と中庭に響く。何時まで経っても埒が明かない……。
「だああっ! ったくもう!!」
頭に血が登ったジュリアンは勢いのまま剣を振り下ろした。途中ではっと我に返るがその剣先はラインアーサ目掛け命中したかに見えた。
「うわぁっ」
ラインアーサの握っていた剣が手から零れ投げ出される。
「アーサっ!! 大丈夫か!?」