《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「わぁい! とうさまだぁい好きー!!」
「リーナぁ!! おいで高い高いだーー!」
「きゃぁ〜!」
「全くもう! いつまでも騒いでないで早く食べましょ! せっかくのお料理が冷めちゃうわ!!」
久しぶりの家族水入らずで一緒に盛り上がりたいのは山々なのだが、どうしても気乗りぜずジュリアンは小さく溜息を漏らした。
「…ジュリアン。後で風呂の時にでも話聞いてやるから、な? ほらグラタンはお前の大好物だろ? 取ってやるよ!」
「う、うん…」
やはり父には何でもお見通しなのだと思うと今度は安堵の溜息が漏れた。
「おにいちゃんずるーい! リーナもとうさまとおふろ入りたかったのに!」
「リーナとは明日かなぁ? 今日はジュリアンと男同士の話し合いがあるからな!」
「うーー、絶対だからね!」
「ほら、リーナは魚の包焼きだろ?」
「うん!」
こうしてサリベルの料理に舌鼓を打った後、グレィスと共に風呂場へと向かった。
王宮の大浴場とは別の、アダンソン家に宛てがわれている専用の水周りだ。やや小さめではあるが一家で使用するには十分すぎる程立派な作りになっている。
アダンソン家や他の使用人の居住区は王宮の本殿とは別の棟だが同じ敷地内にある。
中でも家族同様の手厚い待遇を受けているアダンソン家。何代も前からローゼン家に忠誠を誓い、仕えて来たからこそだ。
祖父のジュストベルは先代王、叔父のコルトベルは現王ライオネルの側近だ。
そして今現在、ラインアーサに側近は居ない。
ジュリアンは大きな湯船にゆったりと浸かりながら、長く息を吐き口を開いた。
「ねえ、父さん。俺さ……」
「うん?」
「俺さ、自信がないんだ。自分に…」
「そうなのか? ジュリアンはめちゃくちゃ頑張ってるじゃん、さっきだって剣の合わせ技見せてくれたし。最近はアーサ殿下と剣の稽古に力を入れてるって話を聞いてるぞ?」
「そうなんだけどさ……俺ってこんな性格だからアーサとずっと一緒に居たら迷惑かけるかもって、最近思うんだ」
ジュストベルに指摘され、自分なりに悩んでいる事やラインアーサと喧嘩してしまった事など、思いの丈をグレィスにぶつけた。湯船に浸かったまま話を聞いてもらい、やっと本音を口に出せたジュリアン。気付くと顔中涙でぐちゃぐちゃになっていた。
恥ずかしくなって一旦顔を湯船に着けてごしごし擦る様に洗う。
「リーナぁ!! おいで高い高いだーー!」
「きゃぁ〜!」
「全くもう! いつまでも騒いでないで早く食べましょ! せっかくのお料理が冷めちゃうわ!!」
久しぶりの家族水入らずで一緒に盛り上がりたいのは山々なのだが、どうしても気乗りぜずジュリアンは小さく溜息を漏らした。
「…ジュリアン。後で風呂の時にでも話聞いてやるから、な? ほらグラタンはお前の大好物だろ? 取ってやるよ!」
「う、うん…」
やはり父には何でもお見通しなのだと思うと今度は安堵の溜息が漏れた。
「おにいちゃんずるーい! リーナもとうさまとおふろ入りたかったのに!」
「リーナとは明日かなぁ? 今日はジュリアンと男同士の話し合いがあるからな!」
「うーー、絶対だからね!」
「ほら、リーナは魚の包焼きだろ?」
「うん!」
こうしてサリベルの料理に舌鼓を打った後、グレィスと共に風呂場へと向かった。
王宮の大浴場とは別の、アダンソン家に宛てがわれている専用の水周りだ。やや小さめではあるが一家で使用するには十分すぎる程立派な作りになっている。
アダンソン家や他の使用人の居住区は王宮の本殿とは別の棟だが同じ敷地内にある。
中でも家族同様の手厚い待遇を受けているアダンソン家。何代も前からローゼン家に忠誠を誓い、仕えて来たからこそだ。
祖父のジュストベルは先代王、叔父のコルトベルは現王ライオネルの側近だ。
そして今現在、ラインアーサに側近は居ない。
ジュリアンは大きな湯船にゆったりと浸かりながら、長く息を吐き口を開いた。
「ねえ、父さん。俺さ……」
「うん?」
「俺さ、自信がないんだ。自分に…」
「そうなのか? ジュリアンはめちゃくちゃ頑張ってるじゃん、さっきだって剣の合わせ技見せてくれたし。最近はアーサ殿下と剣の稽古に力を入れてるって話を聞いてるぞ?」
「そうなんだけどさ……俺ってこんな性格だからアーサとずっと一緒に居たら迷惑かけるかもって、最近思うんだ」
ジュストベルに指摘され、自分なりに悩んでいる事やラインアーサと喧嘩してしまった事など、思いの丈をグレィスにぶつけた。湯船に浸かったまま話を聞いてもらい、やっと本音を口に出せたジュリアン。気付くと顔中涙でぐちゃぐちゃになっていた。
恥ずかしくなって一旦顔を湯船に着けてごしごし擦る様に洗う。