《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「ったく。よくそんな小っ恥ずかしい台詞を次から次へと……。やっぱりアーサには敵わないな。少し前までは〝よわむしアーサ〟だった癖にさ」
「さすがに弱虫は卒業出来たかな?」
そうはにかむラインアーサに、それはどうかな? と返すとそこは頷く所だ、と怒られてしまった。
「さてと。無事仲直りもしたし、今度また二人で抜け出して遊ぶか!」
「えっ? まって、俺だって散々悩んだのにそんな……見つかったらまたジュストベルに怒られるって!」
「要はじい様にバレなきゃいいんだろ! それに、何も今すぐ訓練所に入るわけじゃあないんだ」
「へ、そうなの?」
「まあな。なんなら今からどっか行こうぜ!」
ジュリアンはニヤリと口角を上げて笑った。
「い、今から?」
「もっちろん! 決めた。今日はとことん付き合ってもらうからな!!」
「ええええぇぇぇーー??」
──王宮の中庭にラインアーサの悲鳴がこだましたのだった。
月日が流れるのは早いもので来秋ジュリアンが誕生日を迎え、齢十二になれば訓練所の試験を受験出来る歳になる。しかしラインアーサはジュリアンが王宮を出る事についてまだ完全に納得した訳では無い様だ。
そんな二人だが、度々王宮を抜け出しては街に繰り出すのもだいぶ手慣れた。訓練所に入る前にやりたい事は色々とやっておきたいのだからしょうがない。
もちろんジュストベルの猛威を掻い潜り上手くやっているつもりだ。
しかしラインアーサには新たなる悩み事が発生した様だった──。
「……」
「うん? どうしたんだ? アーサ。さっきから黙り込んで」
「ん、あの……さ。やっぱり俺って頼りなく見えるのかな?」
王宮の横庭に繋がる近道の森に足を踏み入れるなり何処か不機嫌そうにラインアーサがぼやいた。
「なんだ、さっきの気にしてんのか?」
「う、だって俺だって男だ! やっぱり少しは……気にするよ」
ジュリアンと街を散策し立ち並ぶ商店で買い物をする際、何度かに一度の割合でラインアーサは〝女子〟と間違われる。
服装は二人とも街人に紛れやすくする為、敢えてごく一般的な動きやすい男子用の服を着用している。ラインアーサの普段着は地味な物でもやはり高価だ。街の中では目立つ為ジュリアンの服を貸しているのだが、それに関わらず間違われるのだ。
「アーサは俺より線が細いしどっちかって言えば女顔だしな」
「さすがに弱虫は卒業出来たかな?」
そうはにかむラインアーサに、それはどうかな? と返すとそこは頷く所だ、と怒られてしまった。
「さてと。無事仲直りもしたし、今度また二人で抜け出して遊ぶか!」
「えっ? まって、俺だって散々悩んだのにそんな……見つかったらまたジュストベルに怒られるって!」
「要はじい様にバレなきゃいいんだろ! それに、何も今すぐ訓練所に入るわけじゃあないんだ」
「へ、そうなの?」
「まあな。なんなら今からどっか行こうぜ!」
ジュリアンはニヤリと口角を上げて笑った。
「い、今から?」
「もっちろん! 決めた。今日はとことん付き合ってもらうからな!!」
「ええええぇぇぇーー??」
──王宮の中庭にラインアーサの悲鳴がこだましたのだった。
月日が流れるのは早いもので来秋ジュリアンが誕生日を迎え、齢十二になれば訓練所の試験を受験出来る歳になる。しかしラインアーサはジュリアンが王宮を出る事についてまだ完全に納得した訳では無い様だ。
そんな二人だが、度々王宮を抜け出しては街に繰り出すのもだいぶ手慣れた。訓練所に入る前にやりたい事は色々とやっておきたいのだからしょうがない。
もちろんジュストベルの猛威を掻い潜り上手くやっているつもりだ。
しかしラインアーサには新たなる悩み事が発生した様だった──。
「……」
「うん? どうしたんだ? アーサ。さっきから黙り込んで」
「ん、あの……さ。やっぱり俺って頼りなく見えるのかな?」
王宮の横庭に繋がる近道の森に足を踏み入れるなり何処か不機嫌そうにラインアーサがぼやいた。
「なんだ、さっきの気にしてんのか?」
「う、だって俺だって男だ! やっぱり少しは……気にするよ」
ジュリアンと街を散策し立ち並ぶ商店で買い物をする際、何度かに一度の割合でラインアーサは〝女子〟と間違われる。
服装は二人とも街人に紛れやすくする為、敢えてごく一般的な動きやすい男子用の服を着用している。ラインアーサの普段着は地味な物でもやはり高価だ。街の中では目立つ為ジュリアンの服を貸しているのだが、それに関わらず間違われるのだ。
「アーサは俺より線が細いしどっちかって言えば女顔だしな」