《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「うん。何でかわからないけどこれだけは前から得意なんだ。軽い怪我位ならこうして治せるから良かった」
煌像術の力が極めて弱いラインアーサだが、中でも高度な技術が求められる筈の〝癒しの煌像術〟だけは誰に教えられる事もなくいつの間にか習得していた。
「……アーサ、俺はもういいから早く立てよな…」
「ん? ありがとう」
ジュリアンが手を差し伸べるとにこりと笑顔を浮かべ何の迷いもなく手を取り立ち上がるラインアーサ。
互いに深く信頼し合える仲と言っても過言ではない。
─── と、こそに突如可愛らしい声が響いた。
「もー! おにいちゃんっ!! またアーサさまのこといじめてる!」
「リーナ!」
「リーナ!」
二人一斉に声の方向へ振り向くとその声の主は迷わず力強い足取りでこちらへと向かって来た。
リーナは容姿ですぐに兄妹だと分かるくらいジュリアンと特徴が似ている。そこへ女の子らしさが加わり可愛らしくも、年齢よりも少し大人びた性格で兄よりもしっかり者だ。
「ち、違うんだってリーナ! 今日はアーサが剣を教えて欲しいって言うからさ…」
「アーサさまが剣? ほんとに??」
ジュリアンと同じ緑の少し垂れた瞳がきらりと光る。
「リーナ! ジュリの言う通りだよ。俺が無理言ってジュリに頼んだんだ…」
「ア、アーサさま! そうなんですね!! 大変しつれいしました…」
ラインアーサにそう説明されると先程までの勢いは急に衰えしおらしくなるリーナ。
「いや、いいよ。ただ、俺もジュリみたいに強くなりたくて……。なかなか難しいけどね。あはは」
「本当にな。剣術を極めたいならもっと気合い入れて来いって! ったく」
「うう、分かったよ。所でリーナはどうしてここに来たの? 何かお使い?」
「あっ! そうなんです。イリアさまからの伝言が」
「姉様の?」
「はい! 今日は王妃さまとイリアさまがたくさん焼き菓子を焼いたんです。なのでお茶の時間にみんなでって!」
「焼き菓子…!」
「やったぜ〜、俺ちょうど腹が減ってきて何か食べたかったんだ! アーサ、今日はここまでにして一旦着替えに行こうぜ」
「あ、うん。じゃあまた明日も剣の稽古つけてくれる?」
「あーー、まあいいけど。んじゃあ明日はもっと厳しくやるからな?」
「ん、わかった」
稽古を切り上げ、庭園の間からそのまま大浴場へと向かう。
煌像術の力が極めて弱いラインアーサだが、中でも高度な技術が求められる筈の〝癒しの煌像術〟だけは誰に教えられる事もなくいつの間にか習得していた。
「……アーサ、俺はもういいから早く立てよな…」
「ん? ありがとう」
ジュリアンが手を差し伸べるとにこりと笑顔を浮かべ何の迷いもなく手を取り立ち上がるラインアーサ。
互いに深く信頼し合える仲と言っても過言ではない。
─── と、こそに突如可愛らしい声が響いた。
「もー! おにいちゃんっ!! またアーサさまのこといじめてる!」
「リーナ!」
「リーナ!」
二人一斉に声の方向へ振り向くとその声の主は迷わず力強い足取りでこちらへと向かって来た。
リーナは容姿ですぐに兄妹だと分かるくらいジュリアンと特徴が似ている。そこへ女の子らしさが加わり可愛らしくも、年齢よりも少し大人びた性格で兄よりもしっかり者だ。
「ち、違うんだってリーナ! 今日はアーサが剣を教えて欲しいって言うからさ…」
「アーサさまが剣? ほんとに??」
ジュリアンと同じ緑の少し垂れた瞳がきらりと光る。
「リーナ! ジュリの言う通りだよ。俺が無理言ってジュリに頼んだんだ…」
「ア、アーサさま! そうなんですね!! 大変しつれいしました…」
ラインアーサにそう説明されると先程までの勢いは急に衰えしおらしくなるリーナ。
「いや、いいよ。ただ、俺もジュリみたいに強くなりたくて……。なかなか難しいけどね。あはは」
「本当にな。剣術を極めたいならもっと気合い入れて来いって! ったく」
「うう、分かったよ。所でリーナはどうしてここに来たの? 何かお使い?」
「あっ! そうなんです。イリアさまからの伝言が」
「姉様の?」
「はい! 今日は王妃さまとイリアさまがたくさん焼き菓子を焼いたんです。なのでお茶の時間にみんなでって!」
「焼き菓子…!」
「やったぜ〜、俺ちょうど腹が減ってきて何か食べたかったんだ! アーサ、今日はここまでにして一旦着替えに行こうぜ」
「あ、うん。じゃあまた明日も剣の稽古つけてくれる?」
「あーー、まあいいけど。んじゃあ明日はもっと厳しくやるからな?」
「ん、わかった」
稽古を切り上げ、庭園の間からそのまま大浴場へと向かう。