《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
家での仕事を終わらせるとジュリアンは次にラインアーサの部屋を訪ねた。
部屋の扉を叩くが、返事が返ってこないのはいつもの事。
昨日ジュストベルに注意を受けたばかりなのは承知の上で、容赦なく部屋へと踏み入る。しかし部屋の中にラインアーサの気配はない。それもそのはず、ラインアーサは朝がめっぽう弱く、まだ熟睡中なのだ。
寝起きの悪い主を起こすのもジュリアンの仕事の一つ。と言っても過言ではない。毎日では無いが王宮で重要な催事がある時などは念の為起こしに行くと決めている。
一応寝室の扉も叩いたが、やはり中からの返事はない。
「……寝坊助王子め」
もう一度扉を叩き声をかける。しかし拡がる静寂を破るのは、可愛らしい小鳥の囀りのみだ。
仕方なく寝室へと立ち入ると案の定ベッドの真ん中で猫の様に丸くなって爆睡しているラインアーサが目に入った。羽布団に包まり枕を抱きしめたまま幸せそうな顔で眠っている所大変申し訳ないのだが、起こさなくてはいけない。
まず窓にかかっている厚手の垂れ絹を上げ寝室に朝陽を招き入れ、すかざず窓を開け放って新鮮な空気も入れる。
眩しい陽射しと冷たい空気を敏感に感じ取ったのかラインアーサは僅かに呻いた。
「……じゅり…。駄目、、だろ」
「えっ!? な、何が?? って寝言かよ」
唐突に名を呼ばれて心臓がドキリと跳ねた。が、どうやら寝言らしい。起きての発言かと思ったがラインアーサの瞼はまだ硬く閉ざされている。
更にラインアーサの寝言は続く。
「……だからぁ……ちがうって焼き菓子には…断然木の実だってば…!」
「はあ・・・─ったく、毎回毎回なんの夢を見てんのやら。ドキッとして損したぜ……ほら起きろアーサ!」
ラインアーサの肩を強く揺らす。
「……ん…」
「起きろーー!! もう朝だって!」
「……あさぁ?」
「朝! 早く起きろ! とっくにお日様登ってるぜ? それに今日は王宮で定例会議があるんだろ? お前も見学したいって言ってたじゃん!」
「んー? ……ああ、、そうだった…」
ラインアーサは少し身体を起こすと寝癖であちこち跳ねている頭を片手で掻き混ぜた。そのまま起きるのかと思いきや、再び枕に顔を押し付ける。
「おい! アーサ!!」
「うー、まだ眠ぃ……」
「相変わらず寝起き悪いな。でも今日は駄目だ、起きろ!」
「んんぅ、分かってるよ」
部屋の扉を叩くが、返事が返ってこないのはいつもの事。
昨日ジュストベルに注意を受けたばかりなのは承知の上で、容赦なく部屋へと踏み入る。しかし部屋の中にラインアーサの気配はない。それもそのはず、ラインアーサは朝がめっぽう弱く、まだ熟睡中なのだ。
寝起きの悪い主を起こすのもジュリアンの仕事の一つ。と言っても過言ではない。毎日では無いが王宮で重要な催事がある時などは念の為起こしに行くと決めている。
一応寝室の扉も叩いたが、やはり中からの返事はない。
「……寝坊助王子め」
もう一度扉を叩き声をかける。しかし拡がる静寂を破るのは、可愛らしい小鳥の囀りのみだ。
仕方なく寝室へと立ち入ると案の定ベッドの真ん中で猫の様に丸くなって爆睡しているラインアーサが目に入った。羽布団に包まり枕を抱きしめたまま幸せそうな顔で眠っている所大変申し訳ないのだが、起こさなくてはいけない。
まず窓にかかっている厚手の垂れ絹を上げ寝室に朝陽を招き入れ、すかざず窓を開け放って新鮮な空気も入れる。
眩しい陽射しと冷たい空気を敏感に感じ取ったのかラインアーサは僅かに呻いた。
「……じゅり…。駄目、、だろ」
「えっ!? な、何が?? って寝言かよ」
唐突に名を呼ばれて心臓がドキリと跳ねた。が、どうやら寝言らしい。起きての発言かと思ったがラインアーサの瞼はまだ硬く閉ざされている。
更にラインアーサの寝言は続く。
「……だからぁ……ちがうって焼き菓子には…断然木の実だってば…!」
「はあ・・・─ったく、毎回毎回なんの夢を見てんのやら。ドキッとして損したぜ……ほら起きろアーサ!」
ラインアーサの肩を強く揺らす。
「……ん…」
「起きろーー!! もう朝だって!」
「……あさぁ?」
「朝! 早く起きろ! とっくにお日様登ってるぜ? それに今日は王宮で定例会議があるんだろ? お前も見学したいって言ってたじゃん!」
「んー? ……ああ、、そうだった…」
ラインアーサは少し身体を起こすと寝癖であちこち跳ねている頭を片手で掻き混ぜた。そのまま起きるのかと思いきや、再び枕に顔を押し付ける。
「おい! アーサ!!」
「うー、まだ眠ぃ……」
「相変わらず寝起き悪いな。でも今日は駄目だ、起きろ!」
「んんぅ、分かってるよ」