《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
馬子にも衣装という言葉もあるが、ラインアーサが普段とは異なる公的な衣装を纏うと本当に様になるのだ。やはり王子なのだと実感するが、今朝の様子との差異が半端ではなくつい茶々を入れたくなる。
「ったく。朝弱いのは分かるけどさ、いつもちゃんと一人で起きれてるのかぁ?」
「が、頑張ってるって! 早起きは苦手だけど…」
「まあ、朝方は冷えるもんな。てかお前さ、寒がりのくせに何で寝巻き着ないの? それこそ寒くて起きれなくないか?」
「逆だよ。裸の方があったかい」
「はあ? 何だそれ? だってさ……その、朝とか、色々大変じゃあないのか?」
「大変って何が?」
「なにがってほら……いや、なんでもない…」
ラインアーサの無垢な表情にそれ以上深く追求するのを諦めた。
「前にブラッド兄様が教えてくれたんだ。何も着ないで寝た方があったかいし、よく眠れるから朝もすっきり目が覚めるんだって」
「あー、ブラッドフォード様の国は昔遊牧の民だったからか! そんときの名残が今でも活きてる感じ? そう言えば父さんもオゥ出身だから同じ事言ってたし裸で寝てるや…」
「だろ? ジュリも騙されたと思ってやってみたら?」
「いや、俺はやめとくー。朝から布団の洗濯とかほんと大変だもん」
「ふぅん? まあいいや。でも本当にこの寝方にしてから朝は大分ましになったんだ、オゥの古い習慣に感謝だよ」
「そっか、アーサが良いならよかったじゃん。さてと、じゃあこれから始まる会議も見学とは言えぼんやりするなよ! あと午後からはじい様の授業だしな」
「うん。ジュリも授業遅れないでね」
ラインアーサは背筋を伸ばし踵を返すと会議の間最奥に設けてある国王陛下の席の隣に立ち、笑顔でこちらに手を振った。その顔に何となく気が抜けつつも手を振り返しその場を後にする。
間もなくこの会議の間にリノ・フェンティスタ各国からの要人が集まってくる。隔月で行われている定例会議は各国が順に主催する体制で、今回はシュサイラスアが当主である。討議の核は専ら国政についてだ。とても重要な会議である事が分かる。
とにかく本日、王宮に要人が集結するのだ。何かヘマをしたらジュストベルから大目玉所ではない。かと言って午後までの空いた時間を大人しく自室に篭っているというのも性に合わない。
「ふっふっふ。じゃあ、久々に一人で街を満喫しますか」
ニヤリと口角を上げる。
「ったく。朝弱いのは分かるけどさ、いつもちゃんと一人で起きれてるのかぁ?」
「が、頑張ってるって! 早起きは苦手だけど…」
「まあ、朝方は冷えるもんな。てかお前さ、寒がりのくせに何で寝巻き着ないの? それこそ寒くて起きれなくないか?」
「逆だよ。裸の方があったかい」
「はあ? 何だそれ? だってさ……その、朝とか、色々大変じゃあないのか?」
「大変って何が?」
「なにがってほら……いや、なんでもない…」
ラインアーサの無垢な表情にそれ以上深く追求するのを諦めた。
「前にブラッド兄様が教えてくれたんだ。何も着ないで寝た方があったかいし、よく眠れるから朝もすっきり目が覚めるんだって」
「あー、ブラッドフォード様の国は昔遊牧の民だったからか! そんときの名残が今でも活きてる感じ? そう言えば父さんもオゥ出身だから同じ事言ってたし裸で寝てるや…」
「だろ? ジュリも騙されたと思ってやってみたら?」
「いや、俺はやめとくー。朝から布団の洗濯とかほんと大変だもん」
「ふぅん? まあいいや。でも本当にこの寝方にしてから朝は大分ましになったんだ、オゥの古い習慣に感謝だよ」
「そっか、アーサが良いならよかったじゃん。さてと、じゃあこれから始まる会議も見学とは言えぼんやりするなよ! あと午後からはじい様の授業だしな」
「うん。ジュリも授業遅れないでね」
ラインアーサは背筋を伸ばし踵を返すと会議の間最奥に設けてある国王陛下の席の隣に立ち、笑顔でこちらに手を振った。その顔に何となく気が抜けつつも手を振り返しその場を後にする。
間もなくこの会議の間にリノ・フェンティスタ各国からの要人が集まってくる。隔月で行われている定例会議は各国が順に主催する体制で、今回はシュサイラスアが当主である。討議の核は専ら国政についてだ。とても重要な会議である事が分かる。
とにかく本日、王宮に要人が集結するのだ。何かヘマをしたらジュストベルから大目玉所ではない。かと言って午後までの空いた時間を大人しく自室に篭っているというのも性に合わない。
「ふっふっふ。じゃあ、久々に一人で街を満喫しますか」
ニヤリと口角を上げる。