《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
クロキの組んだ訓練工程は実に効率が良く、厳しくも確実に休息が取れる様に計算されていた。適度な寛ぎのおかげか身体は弛むこと無く、逆にやる気が満ちてくる程だ。
自分一人で闇雲に鍛錬していた時とは雲泥の差でジュリアンは着実に力をつけていった。
他にも、警備において必要不可欠である拘束の煌像術や応用術の講習を真面目に受け、王宮にいた頃とは比べ物にならないくらい熟達した。苦手だった風を吹かせる煌像術も少しコツを覚えればなんてことは無く、いとも簡単に出来るようになった。
「……じい様はいつだってちゃんと教えてくれてたのに、あの頃の俺ってよっぽどテキトーだったんだな。そりゃあ怒るよな」
当時の自分を省みて、その適当さに恥ずかしくなり小さく溜息を漏らす。
「───アーサどうしてるかな。俺も手紙書かないと……」
書こうと書こうと思っているうちにラインアーサから手紙が届いた。内容からは王宮の様子が見て取れ、皆それぞれ元気にしていることが伝わってきた。
養生の為大好きな祖母のセラフィールがノルテ地区の別荘へ移った事で少し落ち込んでいる事や、イリアーナとブラッドフォードの婚約が正式に決まった事で色々と準備が大変などと事細かにラインアーサの綺麗な文字で綴られている。
王宮は日々目まぐるしい変化で忙しくも日々の鍛錬は休まずに頑張っているらしい。
ジュリアンはこの手紙を読み返してはラインアーサと一緒に稽古した日々を思い出し、自身の志を強くする。
「よし! アーサも頑張ってんだ。俺ももっと頑張ろ! とりあえず手紙の返事だな」
途中で書くのを止めていた手紙を引っ張り出し、思いの丈を書き散らした。かなり分厚くなった封筒に苦笑いしつつも満足する。
今日は休みの日だが自主練で体力を消耗していた。すぐにでも王宮に手紙を届けたい所だが、明日の朝一番で出しに行くと決めて陽が落ちる前に床に就く事にした。
疲れていたせいかあっという間に寝付いたが、深い眠の中で何度も名を呼ばれている様な気がして眉を顰める。
「…ジュリ……リアン」
「う、んん……」
───ッ…! お願い、誰か、……助…て!!
一瞬。ラインアーサの悲痛な叫び声が聞こえた様な気がして飛び起きた。
「っ…アーサ!! …っ!?」
「?! 何だ、どうした?」
はっきりとしない頭と視界で目を細めるとクロキの顔がぼやけて見えた。
自分一人で闇雲に鍛錬していた時とは雲泥の差でジュリアンは着実に力をつけていった。
他にも、警備において必要不可欠である拘束の煌像術や応用術の講習を真面目に受け、王宮にいた頃とは比べ物にならないくらい熟達した。苦手だった風を吹かせる煌像術も少しコツを覚えればなんてことは無く、いとも簡単に出来るようになった。
「……じい様はいつだってちゃんと教えてくれてたのに、あの頃の俺ってよっぽどテキトーだったんだな。そりゃあ怒るよな」
当時の自分を省みて、その適当さに恥ずかしくなり小さく溜息を漏らす。
「───アーサどうしてるかな。俺も手紙書かないと……」
書こうと書こうと思っているうちにラインアーサから手紙が届いた。内容からは王宮の様子が見て取れ、皆それぞれ元気にしていることが伝わってきた。
養生の為大好きな祖母のセラフィールがノルテ地区の別荘へ移った事で少し落ち込んでいる事や、イリアーナとブラッドフォードの婚約が正式に決まった事で色々と準備が大変などと事細かにラインアーサの綺麗な文字で綴られている。
王宮は日々目まぐるしい変化で忙しくも日々の鍛錬は休まずに頑張っているらしい。
ジュリアンはこの手紙を読み返してはラインアーサと一緒に稽古した日々を思い出し、自身の志を強くする。
「よし! アーサも頑張ってんだ。俺ももっと頑張ろ! とりあえず手紙の返事だな」
途中で書くのを止めていた手紙を引っ張り出し、思いの丈を書き散らした。かなり分厚くなった封筒に苦笑いしつつも満足する。
今日は休みの日だが自主練で体力を消耗していた。すぐにでも王宮に手紙を届けたい所だが、明日の朝一番で出しに行くと決めて陽が落ちる前に床に就く事にした。
疲れていたせいかあっという間に寝付いたが、深い眠の中で何度も名を呼ばれている様な気がして眉を顰める。
「…ジュリ……リアン」
「う、んん……」
───ッ…! お願い、誰か、……助…て!!
一瞬。ラインアーサの悲痛な叫び声が聞こえた様な気がして飛び起きた。
「っ…アーサ!! …っ!?」
「?! 何だ、どうした?」
はっきりとしない頭と視界で目を細めるとクロキの顔がぼやけて見えた。