《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「……うわぁ。それは流石にやばそう」
「それと父さんが寝てる間、勝手に髭剃ったときもやばかったっけ。一番最近のだと厨房で夕飯のつまみ食いしようとしたのが母さんに見つかって焦って全部ぶちまけたりとか、、まあ他にももっとあるぜ!」
「う、うん。ジュリがやばいのは充分わかったよ……とにかく俺は今よりももう少し強くなりたいんだ。自分でなんでも出来るようになりたい…」
「そうなのか…」
強くなりたいと願うラインアーサの横顔は何故だかとても大人びて見えた。浴場の高窓から差し込む日光が逆光となり湯気が煌めく中、髪から伝って顎先に落ちる雫が眩しくて思わず息を飲んだ。
なんとなく焦燥感を感じたジュリアンはそれを誤魔化す様に勢いよく蛇口を回し、頭から湯を浴びた。
「ジュ、ジュリ!?」
「まあ、いいんじゃない? 俺にできる事があるなら何でも言えよ! 協力するからさ!」
温かい湯を顔全体で受け止めながらそう言葉にした。
「っ…ありがとう! ジュリ」
「あたりまえだろ、アーサは俺の主なんだからさっ」
と言うのと同時にラインアーサの頭に腕を回し引き寄せると自身と同じように頭から湯を浴びせた。
「っわ?! 何するんだよ!」
「アーサの癖に急に大人びた事言って! 」
「やめろってジュリ! ああ、もう!!」
「あっはは、本当によわむしアーサを卒業出来るか俺が側で見ててやるからな?」
「わかったよ、わかったからそろそろ出ようよ! 早く行かないとお茶の時間に遅れるって」
「うん? そうだったな、よし。んじゃ俺が急いで乾かしてやるよ」
「ええー! ジュリのってなんかいつも風が冷たいからやだなぁ…」
「だいじょぶだって! 俺、結構練習したんだぜ?」
ジュリアンは口の前で両掌を皿のように広げるとラインアーサに向けて息を吹きかけた。
吐息は掌を通って爽やかな風となり──
の筈が、目の前のラインアーサがカチカチと歯を鳴らし震え始めた。
「ささささむいっ! ジュリ、やっぱり風めちゃくちゃ冷たいし強すぎ!! これじゃあ凍えて風邪ひいちゃう!」
「あー? 強く吹きすぎたか?」
「もういいって! 俺もやってみるから…」
「アーサこそいっつも失敗するじゃん? そよ風すら起きないくせに大丈夫かよ」
「お、俺だって練習してるよ!」
ジュリアンに次いでラインアーサも両の掌を広げそっと息を吹く。
「それと父さんが寝てる間、勝手に髭剃ったときもやばかったっけ。一番最近のだと厨房で夕飯のつまみ食いしようとしたのが母さんに見つかって焦って全部ぶちまけたりとか、、まあ他にももっとあるぜ!」
「う、うん。ジュリがやばいのは充分わかったよ……とにかく俺は今よりももう少し強くなりたいんだ。自分でなんでも出来るようになりたい…」
「そうなのか…」
強くなりたいと願うラインアーサの横顔は何故だかとても大人びて見えた。浴場の高窓から差し込む日光が逆光となり湯気が煌めく中、髪から伝って顎先に落ちる雫が眩しくて思わず息を飲んだ。
なんとなく焦燥感を感じたジュリアンはそれを誤魔化す様に勢いよく蛇口を回し、頭から湯を浴びた。
「ジュ、ジュリ!?」
「まあ、いいんじゃない? 俺にできる事があるなら何でも言えよ! 協力するからさ!」
温かい湯を顔全体で受け止めながらそう言葉にした。
「っ…ありがとう! ジュリ」
「あたりまえだろ、アーサは俺の主なんだからさっ」
と言うのと同時にラインアーサの頭に腕を回し引き寄せると自身と同じように頭から湯を浴びせた。
「っわ?! 何するんだよ!」
「アーサの癖に急に大人びた事言って! 」
「やめろってジュリ! ああ、もう!!」
「あっはは、本当によわむしアーサを卒業出来るか俺が側で見ててやるからな?」
「わかったよ、わかったからそろそろ出ようよ! 早く行かないとお茶の時間に遅れるって」
「うん? そうだったな、よし。んじゃ俺が急いで乾かしてやるよ」
「ええー! ジュリのってなんかいつも風が冷たいからやだなぁ…」
「だいじょぶだって! 俺、結構練習したんだぜ?」
ジュリアンは口の前で両掌を皿のように広げるとラインアーサに向けて息を吹きかけた。
吐息は掌を通って爽やかな風となり──
の筈が、目の前のラインアーサがカチカチと歯を鳴らし震え始めた。
「ささささむいっ! ジュリ、やっぱり風めちゃくちゃ冷たいし強すぎ!! これじゃあ凍えて風邪ひいちゃう!」
「あー? 強く吹きすぎたか?」
「もういいって! 俺もやってみるから…」
「アーサこそいっつも失敗するじゃん? そよ風すら起きないくせに大丈夫かよ」
「お、俺だって練習してるよ!」
ジュリアンに次いでラインアーサも両の掌を広げそっと息を吹く。