渋谷真斗を奪っちゃう!
「え?」

 誰もがポカンとする中、オレは強引に如月さんに引っ張られた。
 早足で駆け出す如月さん。
 オレは引っ張られるがままに夢中で走るのが精一杯だ。

 途中の交差点で歩行者信号が赤になったので立ち止まる。
 部活の練習で走りまくってヘトヘトだったのに又、走るとは思いもしなかった。
 ハァハァ息しながら如月さんに声をかける。

「ど! どうしたんだよいきなり!」

「一緒に帰ろう渋谷!」

 渋谷って…

 オレを呼び捨て?  

「えー? オレに用事でもあったんじゃないのー?」

「用事なんてないよ。一緒に帰りたいだけ」
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