悪魔なアイツと、オレな私
小さい頃はよく三人で遊んでいた。
はしゃぎ回る千秋と治人、行きすぎないように止めてくれるストッパーが亜里沙だった。
居心地がよくて小学校の頃は常に三人だった。
中学になって部活とかの都合で、それぞれの時間ができたけど、それでも仲良しなのは変わらなかった。
そして、同じ高校に入れた。
けど、このまま治人と亜里沙が付き合うとしたら、どうなるんだろう?
「き……千秋……」
「ん……んー」
顔を上げると目の前に亜里沙が座っていた。
丁寧に並べられた机に、窓の外に映る景色はオレンジ色に輝いていた。
「亜里沙……?ありがとう、寝てた」
「見れば分かるわよ。大丈夫?」
「平気。これから帰る。亜里沙は?」
「帰るわよ」
「一緒に帰……」
今までの雰囲気で気軽に誘おうとしたが、彼女が一瞬驚いた表情を浮かべたので、自分が置かれた状況を思い出す。
「いや、やっぱり……」
「良いわよ。帰るなら、さっさと支度して」
意外な言葉に千秋は鞄を手に取ると教科書を詰め込んでいく。
朝の様子だと千秋は避けられると思っていたが、亜里沙は帰ってくれるらしい。
きっとどこかでレオの監視はあるだろうけど、治人とはどこか顔を合わせたくない今、亜里沙とまた一緒に帰れるのはありがたかった。