悪魔なアイツと、オレな私
二人並んで帰る帰り道。
とても落ち着く。
亜里沙は小さい頃からしっかり者で、王子様なんて言われる千秋と同い年でも、千秋よりもよっぽど大人っぽかった。
亜里沙は表も裏もない。
それが中学生の頃に災いした事があった。
ある女の子が仲間外れになっていて、その子の悪口を言う女子グループに亜里沙節を炸裂させた事があった。
「気に入らないことがあるなら、一対一で互いに納得いくまで喧嘩でもしたら?数人で群れて人格否定とか、いくら正論言ってても、やり方が卑怯ならそれは醜い事よ」
亜里沙は臆する事なく、その女子グループに提案した。
そう、彼女にとっては理解したいなら話し合えという提案だったのだけれど、女子グループからすれば、亜里沙の言葉は難癖だったみたいだ。
亜里沙はその日から目をつけられるようになった。
けど、その時も亜里沙は気にしている素振りなんて全然なくて。
初めてその事実を知った時に、千秋は文句を言いに行こうとしたが、それを止めたのは亜里沙だった。
「やめてよ。そういうの嫌い」
「何で!?嫌だ、亜里沙が……亜里沙は悪くないから、ビシッと言ってくる!」
「関係ない千秋が行ったら、あの子達と一緒じゃない。それが嫌よ、私は。それに、千秋と治人が居るから、別に関係ないし」
「でも……、私は嫌だ!亜里沙は、悪くないのに」
「そんな事分かってるわよ。私は悪いなんて一言も言ってないでしょ。ただ、あの子達に理解されたいと思ってないだけ」
亜里沙は絶対に揺るがない。
いつでも自分があって筋が通っていて、千秋からすれば、内面的に亜里沙の方が王子ではないかと思えるほどに。