純
恋に恋するお年頃
「あ!見ーっけ!小森ひな!」
キーン。耳がいたい。
教室を出た瞬間後ろから飛び込んでくるうるさい声。
ああ、こりゃあれだ。中村かいとだ。
相変わらずうるさいなあ。
昼休みだから?いや、アイツにそんなの関係ない。
顔を見なくてもズダダダダなんて音たてて走ってきてるのがわかる。
なんちゅう速さだ。もう真後ろまで迫ってきてるじゃないか。私とアイツの教室はすっごい距離があるはずだぞ。なんてったって端と端だからね。
「小森ひな確保おーーー!!」
「うるさい叫ぶな巨人」
グワシッとすごい力で腕を引かれて振り返れば、やっぱりそこに中村かいと。
180超える巨人になんで昼休みを邪魔されなきゃいけないのか。
いやなんだかんだで仲良い私が悪いんだけど。
「一体全体何の用だい」
「なんだよその喋り方」
「…」
「な、なんで睨むんだよ」
うーむ、ノリが悪いなあ。
勉強できない上に性格もだるい、ノリまで悪いとなるといよいよ終わるぞ中村かいと。
「とりあえずお前そこで待ってて」
「なんで」
「内緒でーっす」
そう言ってまたズダダダダって走っていく。
そんで自分の教室じゃなくて隣りの教室に入っていくんだから意味がわからん。ほんとに何の用なんだ。
とりあえず言われた通り待ってたら、中村かいとに引きずられるように教室から出てきた男の子。
「おっと…?」
なんだあの子。中村かいととあんま身長かわんないじゃんデカッ!!
なんか綺麗な顔してるし、スタイルいいし。
でもなんであの子が引きずられてきてんの。
「マジやだ!俺ほんっとにやだ!」
「いいから来いって!お前DMで話してんだろ」
「話してるっていっても話し始めてまだ2日目だし!」
「うるさい、行くぞ!」
どういう会話しながら来てんだよ。
あ、男の子逃げた。
あ、中村かいとに捕まった。
あ、また引きずられてる。
あ、ついに担がれた。
ていうか、なんちゅう光景を見せられてるんだ私。
なんて思いながら見てたらやっと私の前まで来た2人。
あの美少年は中村かいとの後ろに隠れてる。
「ひな、コイツだよ」
「いやなにが」
「シュウ。松永 修。ほら、今DMで話してんだろ」
「へ、」
「ほら、前出ろよ」
グイって引っ張られて中村かいとの隣に並ぶ彼。
彼は何も言わずにペコリと私に頭を下げると、また中村かいとの後ろに隠れた。
「こいつ人見知り。ちなみに女子苦手だから」
んーなんだろ。
この子とは仲良くなれる気がしない。
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