初恋~ある女の恋愛物語~
風呂上がりの濡れ髪

滴り落ちる滴

風呂上がりのビールと
オレンジジュース

揺れるタバコの煙

何もかもが今までと
変わらない

変わったのは私の気持ち

それでもまた馨さんを
受け入れてしまう

大きなダブルベッドの
上で乱れた自分になる

体だけは正直なんだ

大介よりも…

私のポイントを
知っている馨さんには
体が自然に反応する

この時ばかりは
馨さんを愛してしまう

愛おしくて、何度も
求めてしまっている

そして、愛されている
という錯覚に陥る

情けない自分

お互いが果ててから
ベッドの上で
息を整えていた

お互いの鼓動が
いつものリズムを
取り戻し始める

そして体を起こして
タバコを手に取る

火を点けて、煙を
吐き出しながら馨さんが
ポツリと言った

『誰か俺の知らない男に抱かれてきただろ?』

え…?

どうしてわかったの?

不倫をした彼の時は
気付きもしなかったのに

それともあの時は
気付かないフリを
しただけ?

私のタバコを持つ手が
震えていた
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