初恋~ある女の恋愛物語~
待ち合わせ場所の
広い駐車場

私はわざと少し遅れた

会いたさを隠す為に

プライドがそうさせた

先に着いていた
浩太さんの車は
見てすぐにわかった

深みのある黒塗りの車

低い車高

大きいホイール

かっこいい…

それ以外の言葉が
見付からない

でもあの車から
浩太さんが降りたら…

もう完全にVシネの
世界に入った気分だ

私は車を隣につけた

浩太さんはすぐに
車から降りてきた

『千穂ちゃん!
会いたかったよ!』

満面の笑みだった

メールを無視し続けた
こんな女を恨む事なく
会いたかったなんて

そんな優しい言葉を
かけないで

ますます私がした事に
罪悪感を感じてしまう

なのに素直に
ごめんなさいの一言が
言えない私
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