初恋~ある女の恋愛物語~
何日も私の携帯には
着信とメールが並んだ

仕事を終わらせて
携帯を見ながら
ため息をついた

どうしたらいいの?

浩太さんなら
どうして欲しいの?

そんな事を考えながら
会社を出た

カバンの中をゴソゴソと鍵を探しながら
下を向いて、車に向かう

ようやく鍵を手に取り
顔を上げると、そこにはスーツ姿のままの
正ちゃんが立っていた

思わず後ずさりをした

私に笑顔を向けている
正ちゃんは軽く
右手を挙げた

ここから逃げ出して
しまいたくなる

『会社まで何の用?』

私は強気で言った

『連絡取れないから』

『私は元気だから
心配しないで』

『そういうわけには
いかないよ』

とりあえずここで
話してるのはマズい

逃げるわけにも
いかないから
場所を変えて
話す事にした

もちろん私たちが
外で会ってて
いいわけがない

誰かに見られてしまう

その恐怖からは
逃れられなかった

今の私には
浩太さんに見られたら
マズいという
状況でもあったから

正ちゃんだけじゃない

自分の身を
守らなきゃいけない
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