初恋~ある女の恋愛物語~
『それで、正とは
どうなったんだ?』

『どうって?』

『まだ関係を
持ってるのかって
聞いてるんだよ』

馨さんは直球勝負だった

遠回しな言い方は
しない人だから

『最初から始まってない関係だったんだから
始まりがなければ
終わりもないよ』

『正はそれで
納得したのか?』

私は何も言わなかった

私に別の男が
出来た事は、馨さんにはどうでもいいの?

『正の事好きなのか?』

『さっきから正ちゃんの話ばっかりじゃん。
何の意味があるの?
馨さんには関係ない話
なんじゃないの?』

少しの沈黙が流れた

『ごめん。そうだけど
実は正がかなりひどく
酔っ払って暴れて
大変だったんだよ。
千穂が本気の恋を
見付けてしまった
しか言わなくて。
あんなに取り乱した正を俺は初めて見たんだ』

馨さんが私の目を
ジーッと見ていた
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