初恋~ある女の恋愛物語~
正ちゃんがそんな風に
私を想っていたなんて

正直驚いた

かなり驚いた

私たちは遊びの関係
だったはずなのに

『正は千穂に惚れてた
みたいだぞ。千穂は
どうなんだ?』

馨さんがなぜそんな事を聞いてくるのか
わからなかった

正ちゃんの心配を
しているだけなのか

それとも、私の新しい
恋がどこまで本気か
試しているだけなのか

私にはわからなかった

馨さんの意図が私には
全く伝わってこない

『もう正ちゃんの話は
辞めようよ。これは
私と正ちゃんの問題
なんだし、馨さんには
関係ない事だから』

馨さんは口元に少し
笑みを浮かべて
グラスを手に取った

どう切り出していいのかわからないまま
私は視線を落とした

馨さんは何も言わない

ただ沈黙が流れた

その沈黙が私の決意を
揺るがしていた
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