初恋～ある女の恋愛物語～

『どうしたらいいのか
わかんないんだよ』

ようやく出た私の言葉

馨さんはグラスの
お酒を飲み干した

『俺はいつの間にか、
千穂に本気になって
しまってたのかも
しれないな。
離れられなくなって
しまってる』

もう困らせないで
欲しかった

そんな風に言われると
私の心が乱れる

『もう辞めて。どうせ
本気で付き合うなんて
出来ないくせに』

投げやりにそう言った

許嫁が居るくせに
私を好きだなんて

勝手にもほどがあるよ

『気持ちは本気だよ。
結婚は出来ないけど』

やっぱり

そうなんじゃん

『いくら馨さんでも
親には逆らえないって
わけね』

皮肉を込めて言った

私は嫌な女を演じた

嫌われたくて

『そうだよ。俺は
そういう弱い男』

馨さんはふてくされて
タバコに火をつけた

『弱いけど、気持ちは
本気なんだよ』

吐き出す煙が切なかった

『結ばれないなら
一緒に居られないよ』

止まった涙を拭き取る

そして私は馨さんの
目を見つめた

『私たちは離れる
運命なんだよ』

ゆっくりとその言葉を
吐き出した