初恋~ある女の恋愛物語~
私は手を離し
個室を出た

店の前に停まる
タクシーに乗ろうと
私はタクシーに向かって歩き出した

外はいつの間にか
どしゃぶりの雨

馨さんは無言のまま
小走りで
タクシーに乗った

私はお店から借りた
傘を片手に立ち止まった

でも促すように

『送るよ』

と言われて、私も
タクシーに乗った

ワイパーの軋む音と
ラジオの音が響いていた

何も話さないまま
私の家に着いた

とても長くて重い
時間に感じた
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