初恋~ある女の恋愛物語~
とても広い家だった

二階全てが馨さんが自由に使っている部屋だった

二階だけでも私の家よりも広いんじゃないかって思えるほどだった

『適当に座って』

私はすごく緊張していた

大人の考えはよくわからない

何をされるのか

私はどうなるのか

馨さんはビールを飲んだ

これで、私は今日帰れない事になってしまった

タクシーを呼ぶにもお金が足りそうもない

馨さんはタバコを吸いながらビールを片手にテレビを見ていた

『風呂入ったら?』

『何で?』

私の答えはおかしかった

馨さんは笑い転げた

『俺、送ってくつもりないからさ』

『困るよ…』

『何もしないよ。傍に居て。それだけでいいんだ』

馨さんが寂しそうな瞳を私に向けた

『私が?』

『うん』

着替えも何も用意していなかった私

『脱いだら、洗濯機に突っ込んできて。乾燥機ですぐ乾くし』

『はい…』

言うがままだった

馨さんに手渡されたバスローブ

こんなの身に着けた事なんかないよ

二階に馨さん専用のお風呂場があった

その広さに圧巻だった

私の家とは比べ物にもならない
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