初恋~ある女の恋愛物語~
一晩中愛し合った

最後である事を
振り払うように

たくさんの愛を
囁きながら、ずっと
愛し合った

『このまま時間が
止まればいいのに』

私の言葉が宙に舞う

馨さんは上から私を
見下ろしていた

『このまま私を殺して…
今のこの幸せのまま
死ねたら、私は思い残す事はないから』

私の言葉に馨さんは
何も言わずただ
唇を重ねた

そして馨さんは
私の首に両手を当てた

ギューッと力が
入ってくる

私は目を閉じた

今、殺してくれるなら
私は幸せだ

ありがとう

閉じた目から
涙が一筋流れた

そのまま死を迎えよう

さよなら、馨さん

ごめんね、馨さん

ありがとう、馨さん

愛してる…

最初は遊びだった

恋をしそうになった
私は絶望感に陥った

何度も弄ばれて
それでも
私を離さなかった

何度も断ち切りたかったこの関係

いつの間にか
離れられなくなって
何度も受け入れた

私の人生を変えた

いい方にも、悪い方にも

走馬灯のように
脳裏を駆け巡る

このまま死ねたら…

馨さんの事を
考えながら死ねたら…
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