初恋～ある女の恋愛物語～

『そんな事
出来るわけないだろ』

馨さんの両手の力が
抜けて、私の首を
解放する

目を開けると、馨さんが泣いていた

初めて見た馨さんの涙

裸で抱き合いながら
馨さんは泣いていた

『千穂、ごめん。
そんなに俺を
愛してくれてたなんて』

馨さんは震えていた

私の胸で震えていた

何度もごめんと
言いながら

『愛し合うって
残酷なんだね』

『この先、千穂が
幸せな愛に出逢う事を
俺は祈ってるよ』

『馨さんも幸せに
なってくれなきゃ
いつまでも私が
幸せになれないからね』

『もう殺してなんて
言うなよ。また俺は
千穂から離れられなく
なっちゃうからな』

また唇を重ねて
抱き合い続けた