初恋～ある女の恋愛物語～

私の叫び声は
虚しく病室に響いた

『残念ですが…』

先生の言葉は
私を絶望に陥れた

泣き崩れた女性が
私の傍に寄り、
何度も謝る

言葉になっていない
叫びのような謝罪

そんな謝罪は私の
耳には届かない

私の赤ちゃんを返して

私に残された
浩太さんとの繋がりを
返して

もうお腹には
赤ちゃんはいない

たった数日間の
幸せだった

浩太さんの龍の絵に
向かって、赤ちゃんが
出来たのよって
報告出来た
ばかりだったのに

産む決意までして
頑張ろうと決めたのに

もちろん私がかばった
子供に罪はない

そのお母さんにも
罪はないの

それもわかってる

怒りをぶつける
矛先も見付からない

私の絶望感は大きかった

子宮に傷は付いてなく
また子供は出来る
体だと先生が言ってた

それは嬉しくはない

もう浩太さんの子供は
産めないんだから

私は浩太さんの
子供が欲しいのに

もう二度と叶わない

涙ばかりが出てくる

何を考えても
涙だけが頬をつたう