初恋～ある女の恋愛物語～

私の最大限の
強がりだった

馨さんと奥さんが
これからも仲良く
いられますようにと
願いを込めた強がり

馨さんは

『こいつが子供を
ちゃんと見てないから』

なんて言ってたから

奥さんにとって
その言葉は何よりも
傷ついたと思うから

私が強がったら
それで救って
あげられるのなら

馨さんが私の為に
頭を下げた

私は雨の中を私の元に
走ってきた馨さんを
思い出した

私は泣きながら
馨さんを受け入れた

離れられなかった
私たちが迎えた最後の
夜も思い出していた

もう会う事はないと
思っていた馨さんと
こんな形で再会した

神様は残酷な運命を
私たちに与えた

私と馨さんの
運命の歯車は、ずっと
狂ったままだったの？

私たちへの罰なの？

罪の償いは出来た？

もう苦しめないで

馨さんの手に
触れたくなる衝動を
ようやく抑える

もしも願いが叶うなら
馨さんのその手に
触れたい

奥さんがいなかったら…

とんでもない事を
考えてしまっていた