初恋~ある女の恋愛物語~
車のキーレスのボタンを押した

私が自分の車に
近付くと、隣の車の
ドアが開いた

そして降りてきたのは
馨さんだった…

『やっぱり。千穂の
車だと思った』

そう言って、私に
微笑みを向けた

その笑顔はズルいよ

その胸に飛び込みたく
なっちゃうじゃない

そんな笑顔を私に
見せないで…

せっかく新しい日々を
歩き出そうとしてるのに

私の周りだけ、時間が
止まっているように
感じた

運転席では、さっきの
秘書の男性がミラーで
周りを伺っていた

そう

馨さんはこんな所で
私と話していられる
存在なんかじゃないんだ

スキャンダルものだ

おもしろおかしく
記事にされたり
しちゃう人なんだ

もう前とは違う

私とは居る世界が
違う人なんだから
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