初恋~ある女の恋愛物語~
どんなに私を想って
くれたとしても
私の赤ちゃんは
戻ってこない

私の中にはまだ
浩太さんが残っていた

こうして馨さんと
会う事で、結局
馨さんが大きくなるのはわかっていたけど

わかっていても、私は
馨さんを求めたんだ

浩太さんとの思い出を
忘れる為に

私の中から、浩太さんを消すために

私たちの運命は
皮肉なものだね

そう呟いた私を
馨さんは優しく
抱きしめてくれた

こんな形で再会なんか
したくなかったと
震えた声で言った

『泣いてるの?』

私の問いかけに
馨さんは何も言わず
私を抱きしめる腕に
力を入れた

私はそんな馨さんの
腕の中で、安らぎを
感じていた
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