初恋~ある女の恋愛物語~
お互い泣きながら
何度もキスをして
何度も抱き合った

求めるほどに
離れられなくなる心と体

泣きながら抱き合い
愛し合った

ベッドが軋む音が
響いていた

『千穂を抱くのは
最後になるな。人生
最後に抱くのが
千穂で良かった』

もう奥さんを
抱くつもりはない事を
私に教えてくれた

そんな事を笑って言える馨さんをただ見つめた

『俺には千穂が居たから全然辛くなんかないよ』

また笑っていた

『ただ、俺を看取るのが千穂じゃないのが
残念だよ』

今度は寂しそうな
顔を見せた

奥さんと秘書の男性が
愛し合っていた

だから、秘書の男性は
私と馨さんの関係を
見てみぬフリをしたんだ

皮肉な関係だった
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