初恋～ある女の恋愛物語～

個室のベッドに
横たわる馨さんの姿

その姿を見ただけで
涙が溢れた

馨さんの隣に寄り添うと馨さんは私の姿に
驚いていた

『千穂…？』

その声には力がなく
弱々しかった

それがまた私の涙を誘う

『大介が、うまく
会わせてくれたの』

そう言うと、馨さんは
微笑みを浮かべた

『千穂…俺を…俺を
抱きしめて』

私は馨さんのお願いを
受け入れて、馨さんを
抱きしめた

馨さんの体は
やせ細っていた

それでも私はちゃんと
抱きしめていた

馨さんは片手を布団から出して、私の背中に
回していた

そして見つめ合いながら唇を重ね合わせた

『俺のこと、忘れないでいてくれよ』

『もちろんだよ。
忘れられるわけない』

『生まれ変わったら
絶対幸せになろうな。
今度千穂を幸せに
するのは、俺だからな』

『わかってるよ。私が
天国へ行く時は
ちゃんと迎えに来てね』

『わかった。それまで
ちゃんと千穂の幸せを
見守ってるからな』

『うん』

涙がとめどなく溢れた

馨さんの瞳も
潤んでいた