初恋~ある女の恋愛物語~
お酒の味はほとんど
覚えてはいない

馨さんとの辛く切ない
思い出ばかりが蘇る

どうして幸せに
結ばれなかったのか

どうして私たちは
結ばれなかったのか

そんな事ばかりを
考えていた

生まれ変わったら、
一緒に幸せになろうと
約束はした

その時までしばらくの
我慢なんだ

大介もまた何かを
考えていた

何かを考えながら
少しずつお酒を
飲んでいた

ねぇ、大介…

何を考えているの?

聞きたくてもなかなか
声を出せなかった

重い空気だけが
部屋に漂っていた

テーブルの上にあった
私のタバコを1本
取り出して、大介が
火をつけた
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