初恋~ある女の恋愛物語~
私のタバコは何年も
変わらない

馨さんと同じタバコ

タバコを教えて
くれたのは馨さん

その匂いが大好きだった

大介が吐くタバコの
煙の匂いでまた
馨さんを思い出す

私もタバコを取り出して火をつける

揺らぐ煙の影に
馨さんを求めてしまう

そして自然と
涙が零れ落ちた

頬をつたう涙の
感覚もあまりない

ただ零れ落ちる涙を
拭う事もしなかった

いくら悲しんでも
馨さんは戻らない

私の元に戻ってはこない

手を伸ばしでも
届きはしない

いくら求めても
何も返ってはこない

わかっているはずなのに涙は止まらない

私の中で、馨さんが
居なくなった事実を
受け入れたくないと
反発心が湧いていた
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