初恋~ある女の恋愛物語~
手を出しちゃいけないとわかってるからこそ彼に抱かれた

ホテルに入ってシャワーを浴びながら哀れな自分を恨んだ

私が彼に抱かれたのは私を弄ぶ彼らへの戒めのために

彼女とは違う奥さんという存在

とても大きかった

でも迷いはなかった

彼には悪いけど私こそ感情はなく抱かれていた

重ねる唇にも何の感情もなかった

この事実が私を蝕む彼らにわかるはずがないとわかっていたのに

それでも私は彼を求めた

『ごめんね』

私を抱いた後、彼が言う

こっちこそ謝りたい気分だった

でもそこは敢えて謝らなかった

『謝るくらいなら他の人を抱いちゃいけないよ』

相手に罪悪感を植え付ける

そしたら少しでも浮気に走る気持ちを抑えられるんじゃないか

勝手に思い込んだ

彼が奥さんを大事にしてくれればそれでいいと思った

浮気から得られるものは罪悪感だけだって思って欲しかった
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