用意周到
僕は痛む体を引きずりながら家に帰った。僕を出迎えた母は、手に持っていた救急箱ですぐに手当てをしてくれた。
彼女の件で必要最小限の会話しかしていなかったので、母の優しさに泣きそうになった。

「…母さんの言う通りだったよ。今まで無視してごめんなさい」
「気にしなくていいのよ。分かってくれたなら、それでいいわ」

僕は心の中で母に感謝をすると同時に、僕を弄んだ彼女の事が憎くなった。僕と同じ目に…、いいや、殺してやりたいと思った。
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