どっちが年上だか分らない

マンションまでの道すがらお喋りしながら歩いていると

「そういえばその後視線のほうはどうだ?」

「全くないよ、感じたのはあの日だけ結局なんだったんだろう?」

言われるまですっかり忘れてた、タクシーも最初の2~3日だけで
あとは歩きで帰ってたし、視線も全く感じなくなった

「もう暫くの間は警戒してろよ、忘れた頃にこられたらシャレにならないからな
常に危機感は持ってろよ」

「うん」

あの視線で昼間の女性を思い出した、彼女の視線も冷たかったっけ
そういえば彼女はどうやって会社を知ったのだろう?
拓斗が教えた?ううん拓斗は口は固い
まさか尾行されてたとか

そう思うとこの先まだ何か起こりそうな気がして身震いがした

・・・

それから数日は何事もなく過ぎていった
いつもと同じように仕事帰り夕飯と翌日の朝食用の買い出しにスーパーに寄った
あれこれ見ながら店内歩き回っていると「水城」と呼ばれた
振りむくと

「拓斗?」

「貸して」と言われカゴを取られた

「どうしたの?何か用事でもあったの?」

「ちょっと翔さんに・・・」

「珍しいね拓斗が翔ちゃんに用事なんて」

「・・・オムライス」

「え?」

「作って水城の食べたい」

「昨日作ったばかりなのに今日もまた?」

「水城の手料理久しぶりだから食べたい、作って」

そう言われると弱い「分ったわよ」と言うとにこっと笑った
その笑顔にちょっとときめいてしまったのは何故だろう?
今の自分にはその正体がまだ分っていなかった


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