ヒーローの君
第1章
通学路にずらりと並んで植わっている桜が緑一色になり始めた5月中頃。
新しい環境にも慣れてきた私は、すっかり日の落ちた時間に最寄りの駅に向かっていた。
理由は、6月の初めに行われる球技大会の実行委員の会議があったからだ。
実行委員と言っても運営のための雑用みたいなもので、誰もやりたがらず、運悪くじゃんけんに負けて選ばれてしまったのだ。
意外とこういう時、さつきは薄情だ。
彼氏と約束があるから今日は先に帰るねー、なんて言ってさっさと帰ってしまう。まあ、約束は仕方ないのだけれども…
私はスマホで時間を確認した。
うわ、もうこんな時間!
花の高校生活を謳歌しようと、部活には入らなかった私は、帰宅がここまで遅くなったことはなかった。
お母さんに連絡するにしても、なるべく早く帰りたい。今日は見たいテレビだってあるし。
私は近道をしようと思って、細い路地に入った。姉から教わった近道だ。
私と姉は5歳離れているので、姉はもう卒業して大学生になっているが、かつては私と同じ高校に通っていた。
通学路以外を通ることは校則違反だが、こんな時間にバレないだろうし、姉も一度もバレたことがないと言っていた。
が、それが間違いだった。
新しい環境にも慣れてきた私は、すっかり日の落ちた時間に最寄りの駅に向かっていた。
理由は、6月の初めに行われる球技大会の実行委員の会議があったからだ。
実行委員と言っても運営のための雑用みたいなもので、誰もやりたがらず、運悪くじゃんけんに負けて選ばれてしまったのだ。
意外とこういう時、さつきは薄情だ。
彼氏と約束があるから今日は先に帰るねー、なんて言ってさっさと帰ってしまう。まあ、約束は仕方ないのだけれども…
私はスマホで時間を確認した。
うわ、もうこんな時間!
花の高校生活を謳歌しようと、部活には入らなかった私は、帰宅がここまで遅くなったことはなかった。
お母さんに連絡するにしても、なるべく早く帰りたい。今日は見たいテレビだってあるし。
私は近道をしようと思って、細い路地に入った。姉から教わった近道だ。
私と姉は5歳離れているので、姉はもう卒業して大学生になっているが、かつては私と同じ高校に通っていた。
通学路以外を通ることは校則違反だが、こんな時間にバレないだろうし、姉も一度もバレたことがないと言っていた。
が、それが間違いだった。