釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~



そんな変わらない毎日の中で

少しの逢瀬を重ねていく。

響君は早く結婚を認めて貰うために、仕事に励み、休日に会えることも少ない。

そんな日々が1年を過ぎたある休日の朝

私は響君にお願いされた通り、初めて有休をとって旅行の準備をしていた。


「暫く連絡もできなくてごめんね。

やっと少し休みもとれそうだから、泊まりででかけよう。」

久しぶりに聞いた声。

それは電話越しだったけれど、響君の声を久しぶりに聞いた時、嬉しくてぽろぽろ涙が零れた。

忙しいと教えられて3ヶ月、彼から連絡が来るまでずっとずっと待っていた。

たかが3ヶ月は恋人同士にとっては試練の3ヶ月なのだ。

少しも連絡できないほどに忙しいの?

おやすみのメールもできないの?

私のこと・・・忘れちゃったのかな?

会いたいな。

声が聞きたいな。

こんなに連絡を取らなくても・・・響君は平気なの?


無言の3ヶ月。

マイナス思考に負けて、泣いた夜もあれば

彼を信じなきゃ。と、自分を奮い立たせて仕事に没頭した日もあった。


それが

たった1本の

たった5分程度の電話が

3ヶ月間、塵に積もらせた不安を一瞬で消し去ってくれる。


好きって気持ちは・・・

いつも予想の遥か斜め上をいく。

電話がかかってきたら、絶対に「もう少しはかまって欲しい」と言うつもりだったのに・・・


その声を聞くだけで

そんなことどうでもよくなってしまうんだから・・・。


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