釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
待ち合わせの時間通りに迎えに来てくれた響君の車に乗ると
顔を見るなり抱き寄せられる。
「ずっとずっと会いたかったんだ。
君の顔を見れない毎日は、俺にとって朝が来ない世界のようにつまらなかった。
君は・・・淋しいと思ってくれていた?」
不安そうに視線を絡めてくり彼の首に抱きつくと
彼が側にいることがようやく実感できて、言葉なく頷いた。
「君に嫌われてなくて良かった。
じゃあ、これから数日、特別な思い出を作りに行こうか」
いつものように優しく微笑んで車のエンジンをかける。
運転中の響君の横顔はいつ見ても格好良くて見惚れてしまう。
バカップルだということは、私達も重々承知しているから、初めての二人での旅行くらい、思う存分満喫させて貰いたい。
行き先はアメリカ。
神門家の所有する飛行機に乗って、誰にも邪魔されずにラブラブ!したいところだけど、黒服のガードマンさんが一緒じゃあ、そんな気にはなれない。
ガードマンは名ばかりで、きっと神門家の監視役だろう。
響君が「ちゃんと二人きりじゃなくてごめんね。」
と、囁きながら謝る。
「大丈夫だよ。べったりくっついて監視されてるわけじゃないし。
・・・私、海外なんて初めて!
夢みたいだよ!」
二人きりが良いとは思いつつも、響君のお母さんと交わした約束がある。
きっと、向こうも少し位は。とか、見て見ぬふりなんて、生易しい態度はしてくれない。
条件を満たすことが私達の未来への約束に繋がるんだ。
我が儘ばかり言えない。