釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~


*******


翌朝、時間キッカリに私を迎えに来てくれた響君は、昨日キスを避けた事に気付いていなかったのか、いつも通りで

私も少しの気まずさもありながら、いつも通りに接した。

「母さんから車借りてきたから」

車の鍵を私に見せる響君。

「私、挨拶に行かなくて良かったのかな・・・?」

「大丈夫。この旅行中に必ず一度は会うことになるだろうし・・・」

「・・・そうなんだ?」


行き先も告げずに車を走らせる彼に、何度か何処に行くの?と聞いても「着いてからのお楽しみ」と言うだけ。


きっと、響君のことだから私を楽しませてくれようとしてるのだろうけど・・・

なんだか昨日から蔑ろにされてるような気分だ。

車はどんどん町中から離れて

着いたのは綺麗に整えられた・・・森の入り口⁉


看板は立てられていても、英語は中学レベルよりも下回ってるだろう私の英語力では、何を書いてあるかも分からない。

どうして森に来たんだろう・・・

戸惑う私と

反対に、嬉しそうな響君。


綺麗に舗装された道を歩いていくと

教会?らしいものが見えてきた。


「ここって・・・教会?」

「うん。まだ結婚式前だけど、彩葉ちゃんと来たかったんだ」

響君の照れた笑顔に

ようやく

さっきまでの淋しさが消えてなくなる。

響君が本当に、私との結婚を夢見てくれているようで・・・

あんなに淋しかったのに

心の中がほかほか温まっていくのが分かる。

< 104 / 108 >

この作品をシェア

pagetop