釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~


「教会の中って見れるのかな?」

「見れるはずだよ。行ってみる?」

「行きたい行きたいっ!」

急にはしゃぎだした私の様子を見てくすくす笑う響君が手を繋いでくれた時、教会から二人のシスターが出てきて私達の方へやって来た。

そして、なにやら英語で響君と話していたかと思うと、シスターは私と響君、二人を別々の方向へ案内しようとする。

シスターに手を引かれて、慌てて彼を振り返ると

「大丈夫。また直ぐに会えるから」と、余裕の笑顔。



英語も話せない私にしてみたら、全然大丈夫じゃないんですけどっ⁉


シスターに導かれるまま、教会袖の部屋に入ると、そこには真っ白なウェディングドレスが、とても大切そうに飾られている。

思わず目を奪われた私に、シスターは何か言っている。

けど、わかんない。

シスターが口を開く度に首を傾げる私。

私が首を傾げる度に困ったように首を傾げるシスター。

まるで鏡のように言葉が伝わらない歯痒さに、挫折寸前。

そんな時

「着替えますって言ってるんだよ」と、居るはずない彩花の声が背後から聞こえて、驚いて振り返ると


夢でも見てるのだろうか。

綺麗なワンピースを着てめかし込んでいる彩花だけじゃなく彩月、お母さんまで、居るのだ。

思わず目をこすった私を見て、笑う三人。

「ここ・・・アメリカ?」

念のため、訊ねた私に「アメリカだよね」と呆れた様子で突込む彩月。

「・・・じゃあなんで皆がいるの?」

頭を抱える私に「いいから早く準備しなよ。向こうで待ってるから!!」と、笑いながら部屋から出ていく三人。


夢にしてはリアルすぎる。

思わず、シスターと見つめあった。


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