釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
一応、名の知れてる大企業である私の勤め先は6階建てのビル。
警備員に声をかけて、裏口から中に入ると、まだ受け付け嬢さえ出勤してない無人の受け付けをヒールの音を響かせて通りすぎ、エレベーターが来るのを待っていると、いつもの声が聞こえた。
「彩葉ちゃん。おはよう。」
振り替えるとそこには、作業着を着た笑顔の爽やかな青年がモップ片手に私に手を振り、歩み寄る。
年齢は29歳の私よりは下だろう・・・。
名前は響君。会社から雇われてる清掃員だろう。いつも私より先に来て、この1階のホールの床清掃をしている。
「彩葉ちゃん、今日も早いね。まだ君以外の社員さん来てないよ?」
「そうでもしなきゃ、仕事が片付かないのー。」
「しかも寝不足でしょ?」
くすくす笑いながら、親指で私の目の下のクマをなぞる。
響君にとっては、意味なき行為だとしても、もう何年も色恋沙汰と無縁な私からしてみれば、ドキッとさせられてしまう行動なのだ。