釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
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その日、私はウキウキしながら本社であるビルの入り口に立っていた。
今日は本社で店長会議。
もしかしたら、響君に会えるかもしれない。
あの日から2ヶ月。
会えるかもしれない期待と、実は嫌われちゃってるんじゃないかと不案な気持ちが交錯して、昨晩はなかなか寝付けなかった。
久しぶりの本社。
変わらない受付嬢が私を見付けて笑顔を見せる。
まるで遠い実家に帰ってきたような気分。
ひしひしと沸き上がる喜びを噛み締めてると
遠くで窓拭きをしてる後ろ姿を見付けて胸が高鳴った。
ワクワクする気持ちと、ドキドキする気持ちと、少しの不安と・・・
静かに彼に近付いた。
「響君?」
控えめに声をかけると、彼は一瞬、驚いた表情で振り返り、私を見付けて頬を染めた。
「い、彩葉ちゃん⁉なんで本社に⁉」
「今日は店長会議。」
手に持っていた書類の入った封筒を見せると
「不意打ちすぎる・・・っっ」と、後ろ髪を掻きながら照れ臭そうに笑う。
そんな仕草から、やっぱり脈あり?
なんてドキドキするも、時間がない。
慌てて、私の連絡先を書いた手紙を彼に渡した。
「もし良かったら、連絡・・・下さい。」
恥ずかしくて、踵を返しながらそう呟いて
逃げるように
その場を後にした。
手紙を受け取った響君がどんな表情をしていたかは分からない。
迷惑かな?
それとも・・・。
人生で初めて
男の人に手紙を書いてしまった。