釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
「でも、これで連絡とれるね。」
笑う彼に頷く私。
すると非常階段にぽつりぽつりと雨が落ちる。
「もう・・・帰るね。」
名残惜しいけど・・・
傘ないし。地下鉄まで頑張れば5分。
傘買うの勿体ないし。
雨に打たれて化粧が崩れた顔なんて見られたら幻滅されちゃうだろうし・・・
確かに離れたくなくて寂しいはずなのに裏で、超、現実的な事を考えてる自分が憎い。
「雨・・・大丈夫?」
「うん。」
逆に本降りになるまえに帰りたい。
「帰ったらメールするね」
そう言って、お別れをした。
名残惜しくて何度も振り返った時間は・・・リアルにタイムロス。
仕方ないじゃん!!心と頭は別思考なんだよっっ
自分に言い訳をしながら、会社を出る。
会社と隣の会社の隙間を通ったら地下鉄までの近道になるのは、長年通勤していた先人の知恵。とでも言おうか・・・
それでも家まで待てなくて
会社を出て直ぐに携帯を見た。
まだ登録されてないアドレスからの新着メール。
ウキウキして受信ボックスを開いた。
:彩葉ちゃんの事が好きです。
ストレートに
浮かぶ愛の言葉。
雨に打たれながら
高鳴る鼓動が抑えを知らずに突然、加速した。
:響君に触りたい。
触れたい。
キスしたい。
抱き締められたい。
それだけで頭が一杯になった。