釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
ピンクに染まった心とリアルと闘う脳みそが対立しあって、行かなきゃいけない思いと踏みとどまる足。
雨が
思ったより早く強くなってきた。
響君に会いたい。
このメールが現実なのか心で実感したい!
それでも、気持ちと裏腹にビルの間へと向かう足。
最後に振り返った時
「彩葉ちゃんっっ!!」
私を呼ぶ響君の声と、彼がビルから駆け足この雨の中、駆けてくるのが見えて
対立していた頭と心が和解した。
体が動かなかった。
そんな私の腕を掴み
ビルの間へと逃げて
何も言わずに
激しいキスをした。
濡れた体から
奪われるはずの熱が
もっと体を熱くさせる。
「響・・・くんっ」
名前を呼んでも
離れた唇は何度も重なる。
アスファルトを強く打ち付ける雨音が
私と響君を公衆から隠しているようにさえ感じた。
何度も重ねたキスのあと
「こんなメールきたら、いくら俺でも理性がなくなるっ」
彼が見せてきたその携帯に浮かぶ
:響君に触りたい
私からのメール。
「先に私の理性を奪ったのは響君のほうだよ。」
その首に
抱きついた。
力一杯抱き締めた。
「「相手にされる自信がなかったんだから・・・」」
同じことを考えていたんだね。
私達
囁いた言葉は
心を震わすほど
同じ。だったんだ。