釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
『もしもし、彩葉ちゃん?今日も残業?』
「・・・うん。ごめんね、最近忙しくて全然、連絡とれなくて。」
『大丈夫。そうやっていつも輝いてる彩葉ちゃんを好きになったんだから。
でもね・・・』
「・・・ん?」
『でもやっぱり、会いたい・・・』
耳元で聞こえた響君の切なくて甘い声に、思わず体が疼いた。
「・・・私も・・・会いたいよ」
『それなら良かった。実はもう来ちゃってるんだ。』
「えっ⁉」
慌てて店を飛び出すと、大きな花束を抱えた響君が私を思いきり抱き締めた。
その勢いで少しだけ舞い散った花びらがフラワーシャワーのように舞いおちる。
「ようやく響君に会えた。」
抱き締め返した私に彼は頷く。
「俺なんて、彩葉ちゃんと会えますようにって毎晩、月に願ってたんだよ。
君も見てるかもしれない月なら、彩葉ちゃんを導いてくれるんじゃないかって思って。」
「・・・大袈裟だよ。」
くすくす笑う。
響君に会えただけで、こんなにも幸せに満ち足りた気持ちになるなんて・・・
「彩葉ちゃん。このまま俺とデートをしてくれませんか?」
私の手に
そっとキスをして
響君はまるで本物の王子様のよう。