釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
「デート!!私もしたいです!!」
「良かった。
それなら今日は彩葉ちゃんのしたいこと、しようか?」
「ありがとう!!・・・でも・・・」
今日は私服の響君に対して私はみっともない皺くちゃの疲れたスーツ。
こんな二人が歩いていたら、只でさえ歳の差があるのに・・・
余計に、人の目が気になる。
「どうしたの?」
「一度、着替えてきたいな。」
申し訳なくて、控えめにタイとスカートの皺を手の平で撫でると「時間が勿体ないよ。」そう言って
私の手を引く。
二人の時間を惜しんでくれるのは嬉しいけれど・・・
只でさえ、平凡すぎる顔立ちの私が、皺くちゃのスーツを着れば、君みたいな格好よい人と釣り合うわけない。
少しでいいから
そんな私の気持ちに気付いて欲しかった。
自分の格好が恥ずかしくて俯きながら歩いていると「ここで、用を済ませてからデート開始ね」とアパレルショップの前で立ち止まった。
「えっ?でも私・・・」
今日はあんまり余分なお金を持ってきてないって一言が恥ずかしくて口にできない。
「ここね、今、俺が着てる服のショップなんだ。どうせだからお揃いコーデにしよう。」
嬉しそうにドアを支えて私を中へ導いてくれる。
カジュアルな服なら・・・買えるかな?
そんな安易な考えで値札を見た瞬間、目玉が飛び出すほどの価格に開いた口が開かない。