釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
パッと手を離した私の手を、勢いよく掴まえた響君は
少し、戸惑ってるように目を泳がせた。
「良いの?」
足りない言葉で私を見つめる。
首を傾げた私にもう一度、念を推すように「良いの?」と聞く。
何に対して良いの?なのか
分からなかったけれど
頷いた私に、彼は空いてる方の手で自分の後ろ髪を撫でた。
私の手を握る手に力がこもっている。
少しだけ汗ばんだ手。
響君の緊張が伝わって
理由なく
私の手にも力がこもる。
近付く唇。
重ねた途端に、響君の携帯が鳴った。
「響君、携帯鳴ってる・・・」
「うん。別にいいよ。」
そうしてもう一度重ねた唇。
それでも、鳴り止まない携帯に、私の方が気が気じゃなくなると、響君は観念したように
「ごめん。ちょっと待ってて、電話が終わったら・・・
今日は帰さないから。」
そう言って
少し私から離れた所で電話を受けた。
だけど、私ときたら・・・
「今日は帰さない。」の言葉に頭の中が爆発しそう。
今日は帰りたくない。なんて、言ったのは私の方だけど、時間がたってから考えると凄く恥ずかしいじゃん!!
誘ってるじゃん私!!
だから・・・
響君、あんなに動揺してたんじゃない⁉
絶体、エッチな子だと思われてるっっ!