釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
綺麗な小箱に描かれたラメシルバーの文字を指先でなぞる
〃prince,fellinlove~恋に落ちた王子様~〃
今回企画したテーマは結婚。だった。
プロポーズに贈るプレゼント、結婚したいくらい好きな人に贈るプレゼントを作りたかった。
化粧品メーカーからの香水の製造がなかなか無い中での企画だった・・・
「箱、開けてみろよ。」
樋野の言葉に息を詰まらせながら頷いて
ゆっくり
その箱を開けると
薄くグラデーションのかかったさくら色の球体はが宝石のように綺麗な瓶。
キャップはエンゲージリングをモチーフに交わる点に〃marriage〃の文字。
香りは日本の代表の花である〃桜〃だ。
私の想い描いていた何倍も素敵な商品として形になっていた。
思わず
涙が零れそうになる。
「皆、力を入れてこれから営業に回る。
力を入れてるのは俺たち営業部だけじゃないぞ。」
「えっ?」
「うちの部長と、社長がこの数日かけてこの商品をドラマの1シーンに使ってもらえるように、売り込みに行ってたんだ。」
「えっ⁉ドラマ⁉」
「そう。まだ発売前だからな。大きな宣伝になるはずだぞ。」
そう言って差し出してくれたポスターの縮小版。
とても大きな話で、なかなか実感が沸かないけれど
それだけたくさんの人達がこの商品のために頑張ってくれている。
そんな事が
私の人生の中で起きるなんて
奇跡以外の何物でもない。